2023年度労働衛生コンサルタント口述試験 ~設問と解答のまとめ~


こんにちは!
口回りが絶賛ヒリヒリ中のロトラです。
今日は医療脱毛の施術でした、相変わらず痛かったです(泣)
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医療脱毛医の施術体験記
夏が終わった今はちょうど閑散期ですので予約が簡単に取れます。
割引してくれてるところもちらほら見かけるので来年夏に向けていかがでしょうか?

では本題に入ります。
連日の更新ですが、今日は2024年1月に実施された労コン口述試験の設問と解答のまとめをお届けします。
大阪会場、東京会場の両方の受験者から頂いた情報をもとに作成しています。
今回は設問に対する答え方というよりも周辺知識を含めた解答になりますので、あえて長めに作っています。
試験官の質問に合わせてうまく必要な部分だけ抜き出すような答え方を練習しておくのが良いと思われます。
なお、解答は絶対に正しいとは限らないので自己責任で運用されてください。

  • 導入
  • 総論
  • 労災、ハラスメント
  • 心身の健康管理
  • 作業環境測定
  • アスベスト
  • 化学物質
  • 有機溶剤
  • その他有害業務(暑熱、騒音、振動、酸欠、腰痛、VDT、病院)
  • 保護具
  • 女性の労働基準規則
  • 両立支援
  • 5S
  • 4K

導入

・産業保健の従事歴は?
・受験動機は?
・今までの産業医活動で印象に残っていることはありますか?
・労働衛生のどのようなところに興味を持っていますか?

人によって答えが異なるのであえて解答を作っていません。
ご容赦ください。

総論

・労働衛生コンサルタントとは
→労働衛生コンサルタントの名前を用いて、他者の求めに応じて報酬を得ながら労働者の衛生水準向上を図るために事業所の衛生状況を診断指導する職業です(安全衛生法81条第2項)

・産業医と労コンの違いは?
→産業医は組織の一員として定期的な業務を行うのに対し、労働衛生コンサルタントは企業外の独立した立場から依頼された課題ごとに業務を行います。
また医師免許を有する産業医は健康管理に秀でており、労働衛生コンサルタントは法令や労働衛生管理体制の整備や監督も得意といった違いも特徴として挙げられます。

・専属産業医がいる大きな事業所から、労働衛生コンサルタントへはどんな依頼があると思うか?
→専属産業医は健康管理に主軸を置いているため、特殊な物質や設備の管理、労働衛生管理体制の構築法などに関する専門的な依頼があると思われます。

・労働衛生の3管理について
作業環境管理作業管理健康管理があります。
作業環境管理は、作業環境中の有害因子を取り除き良好な環境を確保します。
作業管理は、作業内容や作業方法を管理し、労働者の負担やばく露を軽減します。
健康管理は、健康状態を把握することで、適正配置や保健指導を行います。

・5管理は知っていますか?
→3管理にプラスして労働衛生教育統括管理があります。
労働衛生教育は、雇い入れ時教育、職長教育などを通して労働者を啓発します。
統括管理は、労働衛生管理体制の整備や管理計画の策定です。

・小規模事業者と大手企業とで介入を行う際の違い、留意点は?
→小規模事業所はコストをかけられない場合が多いので出来ることからお勧めします。
地域産業保健センターで無料サービスを積極的に利用し、労働者の意識啓発や職長教育を推進します。

労災関連

・労働災害が起きた際の事業者の責任
刑事上の責任(労働基準法や安全衛生法違反、業務上過失致死傷罪)、行政上の責任(行政指導、稼働停止命令)、民事上の責任(安全配慮義務違反による損害賠償請求)、社会的な責任(社会的信用)、補償上の責任(労働基準法、労働者災害補償保険法による補償)があります。

・労災の要件を教えてください。
→労災には業務災害複数業務要因災害通勤災害がありますが、業務災害、複数業務要因災害では、業務遂行性業務起因性が要件となり、通勤災害では通勤に関して労働者が負った傷病であることが必要になります。

・労働災害が生じた際の医療費はどうなるか
→すべて労災保険で賄われますが、労災保険を使わない場合は全額(休業補償給付や療養補償給付も)事業主負担になります。
労災病院や労災指定の医療機関では無料で治療を受けられますが、指定外の医療機関では一旦自費で支払う必要はありますが、のちに全額給付されます。
通院の交通費も一定の条件を満たせば全額支給されます。

・違法就労している外国人労働者が労災になった時労災の適用になりますか?
→不法就労、不法滞在に関わらず、日本国内すべての労働に労災保険は適応されます。

・業務上疾病の内訳について多いものから順に教えてください。
→新型コロナウイルス感染、負傷に起因する疾病、物理的因子による疾病、作業態様に起因する疾病、化学物質による疾病、じん肺症やじん肺合併症です。
令和4年の業務上疾病者数は16万5500人ですがその多くが新型コロナウイルス感染です。
コロナを除外した業務上疾病者数は約9500人で死者が774人、そのうち負傷に起因する疾病は約7100件、負傷に起因する疾病のうち災害性腰痛は約6000件です。

・過重労働対策を行おうとする事業者に対策の進め方を説明してください。
→まず、過重労働による健康障害や過労死を生じさせないという方針を事業者が表明し、その方針をすべての労働者へ周知します。
次にタイムカードの打刻など健康管理時間を把握できるような体制を整え、勤務間インターバル制度の遵守が可能な勤務日程を組みます。
そして、実際に勤務した時間や深夜業の日数を毎月集計し、実際に健康管理時間やインターバル制度の遵守ができているか安全衛生委員会で報告します。
健康管理時間が一定のラインを超えている方、健康診断で異常所見がある方、ストレスチェックで面談希望された方などを抽出し、産業医面談を実施することで労働時間が増えている原因の究明や解決方法の模索、専門診療科受診の必要性、就業上の措置の必要性などについて吟味します。

健康管理時間(11時間以上のインターバルの確保+深夜業の回数制限)
勤務間インターバル制度

・従業員が心疾患・脳血管障害を起こした場合、個人の責任(生活習慣病の管理不足等)、会社の責任の割合について
→被災者が請求できるのは労災保険損害賠償の二つが主です。
まず、労災保険ですが、こちらは被災者の過失責任は一切問いません。
ですが労災と認められるためには、認定対象疾患であることや発症前の労働時間、負荷要因など一定の要件を満たす必要があります。
損害賠償は、過失相殺という方式で賠償金が決められます。
被災者と加害者の責任割合を裁判を通し明らかにして、被災者の過失割合に相当する額をトータルの賠償額から差し引きます。

・生活習慣病の管理状況、過重労働、心疾患・脳血管障害発症の関連について
→脳・心臓疾患は、主に加齢、生活習慣、生活環境等の日常生活、遺伝等によって形成される動脈硬化、動脈瘤が徐々に進行し突然発症します。
しかし、仕事が特に過重であった場合、血管病変等が自然経過を超えて著しく増悪し、脳・心臓疾患が発症することがあります。
過重労働による発症が認定されている疾患は、脳血管疾患であれば脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症があり、心臓疾患では心筋梗塞、狭心症、心停止、心臓突然死、急性大動脈解離があります。

脳・心臓疾患の労災認定

・ハラスメント被害者が出すサインとは
→業務のパフォーマンスが下がったり、身だしなみが悪くなったり、勤怠が乱れたりします。
このような状態になってしまう前に、ハラスメントへの対応を徹底するという事業者の方針明確化と周知、相談可能な窓口の設置、迅速かつ適切な対応プロトコル構築、プライバシーの保護や不利益な取り扱いへの留意といった一連の管理体制整備が必要です。

・ハラスメント被害者への対応方法は?
→事実関係を調査し、調査報告書を作成します。
そして、加害者への処分、被害者へのフォロー、再発防止策の構築に取り組みます。

心身の健康管理

・健康診断の個人情報保護はどうするか
→情報の取り扱い目的や閲覧できる権限をあらかじめ決めておきます。
目的は安全配慮義務の履行や適正配置であることを認識し、元のデータは産業医や産業保健スタッフのみ閲覧できるようにし、目的遂行に必要なメンバーにのみ、最低限の情報を共有するのが望ましいです。

・産業保健スタッフがいないところはどうしたらいいと思いますか?
→衛生管理者が一番役割として近いですが、やはり外部の産業保健スタッフへの委託が良いと思います。

・ストレスチェックの目的は?
→ヘルスプロモーションとメンタルヘルスの一次予防です。

・メンタルヘルスを推進したいと言われたらどうする?
→長期的にメンタルヘルスを推進する事業者の方針を表明し、安全衛生委員会で心の健康づくり計画を策定します。計画の内容は、事業場の問題点の把握方法やメンタルヘルスケアの実施方法、計画推進に必要な人材の確保や教育方法などです。
そして、地域産業保健センターなどの外部資源を用いて、計画推進に関わる人材の研修や意識啓発を行い体制を整備します。
4つのメンタルヘルスケアやストレスチェックを軸にしてメンタル不調への対策を実施します。

・メンタルヘルスの1~3次予防について教えてください。
→1次予防は、セルフケア、ラインケアを用いてメンタル不調を未然に防止します。
ストレスチェックで従業員のストレス不安と職場環境を評価します。
2次予防は、メンタル不調を早期に発見し、適正措置を行います。
3次予防は、メンタル不調者の職場復帰支援や不調の再発防止対策を講じます。

・高ストレス者の対応はどうする?
→産業医面談を申請頂き、職場やプライベートで抱えている問題点を把握し、事業場内外の資源を用いて問題解決を計ります。
場合によっては、休職や配置転換、勤務時間の変更といった就業上の措置が必要です。
不眠、動悸、活気不良、食欲不振などの専門診療科受診が必要な症状が出ている場合は受診を勧めます。

・ストレスチェックの担当は?
→衛生管理者、メンタルヘルス推進担当者、実施者、実施事務従事者です。
基本は実施者ですが、中小企業では実施者より指示を受けた実施事務従事者が行うことが多いです。

・ストレスチェックの結果の個人情報保護は?
→ストレスチェックの個人結果は、本人のみが閲覧できる方法で通知され、労働者自身の同意がなければ事業者に提供することができません。
また実施者には守秘義務が課せられ、情報漏洩した場合は労働衛生法104条違反で罰則規定が定められています。

・産業保健スタッフがいないところの結果の保存は?
→利用した集計機関が保存してくれますが、基本は会社で保存します。
5年間の保存が義務付けられています。

・事業者が労働者の健康を保持する理由、企業が健診を行う理由
→労働者を雇用した時点で事業者に安全配慮義務が発生するからです。
安全配慮義務というのは、企業が労働者の健康や安全に配慮する義務のことで労働契約法第5条、安全衛生法第3条に記載があります。

・脂質などはどうして健診に入っているか
→労働者の高齢化や作業環境の変化に伴い、生活習慣病、作業関連疾病の早期発見が健診に求められる役割となってきたからです。
労働安全衛生法第66条第1項に健診で血圧や脂質を測定する根拠が述べられています。

・健康管理手帳の交付条件
有害業務に一定期間従事した労働者が、離職時離職後に都道府県労働局へ申請すると交付される手帳です。
ベンジジン、ジアニシジン、βナフチルアミンの製造は3か月以上、ジクロロプロパンは2年以上、ビスエーテルやベンゾトリクロリドは3年以上、ポリ塩化ビニル、重クロム酸は4年以上従事期間が必要です。
ほかにも粉じんや石綿作業、ベリリウム、コークス、三酸化ヒ素、オルト-トルイジンなどがあります

・じん肺検診管理区分について教えてください。
→ 管理区分は1,2,3イロ,4の5段階に分けられており、明らかな肺機能障害がなければ123に該当し胸部X線像のじん肺所見で分類します。
両肺野に粒状影、不整形陰影がなければ1,少数あれば2、多数あれば3イ、きわめて多数ある場合や片側肺野の1/3以下の大陰影がある場合は3ロになります。
管理区分4は、明らかな肺機能障害がある場合が該当しますが、肺機能障害がなくても片側肺野の1/3以上の大陰影がある場合も該当します。
また、管理区分に応じて措置があり、粉じん暴露の低減措置は管理区分2,3イ、作業転換の努力義務は管理区分3(イは都道府県労働局長より勧奨)、作業転換の義務は3ロ(都道府県労働局長より指示)、療養措置は管理区分4と合併症のある管理区分2,3です。

・どういう利点がある?
→手帳が発行されると定められた医療機関で年に2回(じん肺は1回)無料で健康診断が受けられます。

・手帳発行を要する一番多い有害業務は?
→令和3年の累積交付数は7万件ですが内訳までは見つけられませんでした。
おそらく石綿と思われます。

作業環境測定

・管理濃度とか許容濃度とかあると思いますが、許容濃度はどういうときに使うかは分かりますか?
→許容濃度程度のばく露量で得られる生物学的モニタリングの結果をBEIと呼んでいることならばわかります。

・許容濃度の定義は
→1日8時間週40時間、普通程度の強度の作業に従事した労働者のほとんどが健康被害を起こさない平均ばく露濃度です。
日本産業衛生学会が決めています。

・管理濃度の定義は?
→管理区分を決めるうえで指標となる濃度です。
厚生労働大臣により濃度基準が設定されています。

・作業環境測定の方法は?
→デザイン、サンプリング、分析を行い、管理区分を決定します。

・デザイン、サンプリングとは
→デザインとは、測定対象や日時、測定を行う単位作業場所を決めることで、サンプリングは、有害物質を資料として採集することを指します。

・A,B,C,D測定を全部説明して
→まずA測定ですが、作業場見取り図に6m以下の平行線を縦横に引きその交点から5点以上選んで10分以上測定を行います。
その上位5%の当たる濃度を第1評価値、算術的平均値を第2評価値とします。
B測定は発生源近くの測定対象物質最高濃度です。
C測定は、作業者に試料採取装置を装着し、5人以上で測定を行います。概念はA測定と同様です。
D測定も作業者に試料採取装置を装着し、最も濃度が高くなるであろう時間と作業場所で測定を行います。
C、D測定は、鉛やその化合物、ベリリウム、マンガンなどの低濃度管理物質、有機溶剤のうち発生源が一定でない場合に利用されます。

・どのように管理区分を決定するか
A測定第1評価値とB測定値がともに管理濃度に満たなければ第1管理区分、第2評価値か管理濃度より高い場合もしくはB測定値が管理濃度の1.5倍より高い場合は第3管理区分です。
それ以外が第2管理区分となります。

・第3管理区分であった場合、どのような対策をするか
→直ちに施設、設備を点検し、作業工程や作業方法の点検を行い改善します。
有効な保護具が適切に着用されているかも再確認します。
また、健診結果の再評価も必要です。
R6年4月からは、作業環境測定専門家への相談、改善後の再測定、保護具着用管理責任者の選任が必要になります。
改善不可能な場合は、個人サンプリング測定や保護具によるばく露防止対策が必要です。

・環境測定で管理区分1だけど健診が悪いときは何を考える?
→まずは直接現場を見に行き、作業の様子や有害物質が発散しやすい時間帯を確認します。
気流などの気候要素や飛散していく位置なども考慮し、作業環境測定が有効であったか再評価します。
また、プライベートではんだ付けや有機溶剤などの有害化学物質の使用がないかの確認も必要です。

アスベスト

・アスベストの健康障害について
→石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水、肺がん、中皮腫です。

・建築物解体作業で必要な対策
→石綿が使用されている可能性があるため、事前調査計画届、3管理による健康障害防止対策が必要です。

アスベストの3管理は?
→作業環境管理ですが、作業場の隔離密閉や集塵装置設置、前室、洗身室、更衣室から成るセキュリティゾーンの設定が必要です。レベル1,2の石綿作業であれば、隔離解除前に作業場や前室が陰圧化されていることも確認が必要です。作業環境を湿潤に保つことも有効です。
作業管理では、防塵マスクや電動ファン付きマスク、保護衣の着用、立ち入り禁止区域の設定、作業手順書の作成が挙げられます。
健康管理では、じん肺健康診断、石綿健康診断の実施があります。

・事前調査は誰がするか
→環境大臣が定めた資格者が行います。
石綿含有建材調査者といい、特定建築物、一級建築物、一戸建て等の3つに分類されます。

化学物質

・化学物質の健康障害防止対策
→作業環境管理の面では、有害性に低いものへの転換や設備の密閉化、自動化が挙げられます。
局所排気装置やプッシュプル型換気装置による拡散防止や全体換気による希釈排出も必須です。
作業環境測定による管理状態の把握も重要です。
作業管理の面では、適切な呼吸用保護具の使用徹底、作業手順書の作成や周知、作業主任者の選任が有効です。
健康管理では、特殊健康診断を受けていただき、健康状態の把握や適正配置に役立てます。

・小規模事業所より化学物質の健康障害防止対策にお金がかけられないと言われたらどうしますか?局排装置とかも高いですよね?
より危険性の低いものへ代替を試みます。
ほかにも作業者へのばく露が低減できるよう密閉対策を検討したり、作業手順を見直したりといった点から始めていただきます。

・自律的な化学物質管理を進めている理由
→化学物質による労災の8割が法令の規制対象外の物質によるものであり、新たに規制を設けてもまた別の規制対象外物質が採用され労災が起きるという「規制のイタチごっこ」が発生しているからです。

化学物質の自律的管理について知っていること
→SDSで危険性を指摘されている物質へのリスクアセスメントが必須になりました。
濃度基準値設定物質は濃度基準値以下に抑える必要もあります。
化学物質管理者、保護具着用管理責任者の選任も必須になっています。

・GHSとは
→国連の勧告で採択されました。
The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicalsの略で化学物質の有害性を分類する世界統一のルールです
物理化学的危険性、人の健康への影響、生活環境への影響の3つに有害性が分類されておりさらに詳細な分類を9種類のピクトグラムで表示します。(どういうピクトグラムがあるのか見ておいてください)
急性毒性の程度に応じて区分が分けられ、番号が小さいほど有害性が高いです。

・SDSの通知化の柔軟化について、どんな方法に変更になったか
→SDS情報の通知手段は、譲渡提供される側がその通知を容易に確認できる方法であれば、事前に譲渡提供される側の承諾を得なくても、ホームページアドレスの伝達によって閲覧を求める方法等を採用できることになりました。

・化学物質による労災で1番多いものは
→一酸化炭素による急性中毒です。

・小規模な事業所、コストがかけられない事業所でもできることは?
→GHS区分で危険有害性が確認されている物質のラベル表示化学物質管理者の取得です。

・小規模な事業所の労働者に労働衛生への意識啓発を促すためにはどうしたら良いですか?
→SDSの内容を分かりやすく伝えたり、法改正があればアナウンスしたり、健康保持増進のために衛生教育を行ったりするのが良いです。
(試験官は、この回答に少し物足りない様子でした)

・化学物質管理者の職務は?
→SDSの確認や作成、化学物質のリスクアセスメント、ばく露防止対策の実施、自律的管理のための記録作成、労災発生時の対応、化学物質の自律的管理の周知教育などがあります。

・化学物質のリスクアセスメントの具体的な方法
→健康障害が起きる可能性とその重篤度を考慮する方法、ばく露濃度と有害性を考慮する方法、安衛則第4章や特別測の具体的な措置を参照する方法の3つがあります。
具体的なものに、コントロールバンディング、数値化法、マトリクス法、CREATE-SIMPLEがあります。

・リスクアセスメントの仕方を簡潔に教えてください。
→労働者への有害性危険性を特定し、有害性危険性ごとにリスクを見積もり、リスク低減措置内容の検討し、その結果を労働者に周知するまでがリスクアセスメントです。

・リスク低減の対策について、教えてください
→法令の遵守、有害性の低いものへの代替、安全装置2重化などの工学的対策や局所排気装置などの衛生工学的対策、立ち入り禁止区域の取り決めや禁止行為の周知といった管理的対策、有効な保護具の着用です。

・OSHMSを説明して
→事業所の自主的な労働衛生活動を継続的、体系的に推進するための仕組みです。
事業者が主導となり、労働者の協力を得て職場の安全衛生上の問題点についてリスクアセスメントを行い、PDCAサイクルを繰り返すことで事業所の安全衛生水準の向上を図ります。

・PDCAサイクルとは
→Plan、Do、Check、Actionの頭文字をとっています。
Planは安全衛生目標の設定や安全衛生計画の策定、Doは計画の実行、Checkは計画の進捗点検や評価、Actionは評価を計画Planに反映させます。
これを繰り返すことをPDCAサイクルと言います。

・リスクアセスメントにおいて法令遵守型とOSHMSの違いを教えて
→まず、違いとして主眼にしているものと手法が挙げられます。
法令遵守型では、労働安全衛生関係法令を主眼に置き法令遵守を手法としていますが、OSHMSでは、事業所のリスクや問題を軸としPDCAサイクルを手法として用います。
また長所短所もそれぞれあります。
法令遵守型は、基準や対策が法に明確に明記されているので比較的実行しやすいですが、事業所ごとの細かい特性に合わせづらかったり、法令遵守ありきになりやすいです。
OSHMSは、PDCAサイクルを繰り返すシステムなので実施した対策のフィードバックが可能です。リスクに基づいた対策の立てやすさも長所として挙がります。
組織全体での推進体制が整備可能ですが、その組織的な運営が必要な点自体が短所となることもあります。
この体制の導入や運営に専門的なスタッフが必要になるからです。

・リスクアセスメントを行う事のメリットはなにがありますか?
潜在的な危険性に気づくことができるので、注意の外にあったハザードによるリスクを回避しやすくなります。
さらに3管理で対応すべき点も見つかるのでリスクアセスメントを体系的に行うことが推奨されています。

・リスクアセスメントを行うことを渋る事業者にコンサルタントとしてどのような声かけをしますか?
→まず渋っておられる理由を伺い、問題点を明確にします。
例えば、知識者などの人的資源の問題であれば、化学物質管理者の役割や可能な職務内容をお伝えし、その講習の受講方法や湯徳に要する時間、費用などもご案内します。
設備が設置できない等の金銭的な面であれば、SDSに記載されているGHS区分や緊急時の対応方法などを簡潔にまとめたシートを掲示する、陰圧法、陽圧法といったセルフでできる防じんマスク、防毒マスクのフィットチェックなど費用のかからない対策からお勧めしていきます。
具体的な問題点への解決策を提示してもリスクアセスメントの実施に消極的である場合は、実施しないことにより起きうるデメリットについて説明します。
リスクアセスメントの未実施による労災発生や安全配慮義務違反による損害賠償、労働安全衛生法違反による刑事的責任、補償責任、行政処分などが挙げられます。

・化学物質の発癌の例で何か知っているものとかありますか?
→1,2ジクロロプロパンによる胆管癌発症例があります。
印刷機の洗浄液として1,2ジクロロプロパンが使用されていましたが、作業場の密閉性が高く、局所排気装置などの設置がありませんでした。
さらに安全管理者の選任や職長教育も行われておらず、健康診断も
オルト-トルイジンによる膀胱がん発症の例もあります。
染料合成の触媒としてオルト-トルイジンが使用されていました。
作業環境中の濃度は適正でしたが、保護具の不適切な着用、保管方法が原因で経皮吸収されてしまい発症した症例です。

・溶接ヒュームの健康障害は?
→ヒュームに含まれる塩基性酸化マンガンにより、じん肺、パーキンソン症状が引き起こされます。

・溶接ヒュームが特化物管理第2類物質になったことで新たに規制になったことは?
→局所排気装置の設置、保護具着用やそのフィットテスト、作業主任者の選任、1日1回床を粉じんが発生しない方法での清掃、保護具着用管理責任者の選任です

・溶接作業で起こる有害事象は?
→感電、電光性眼炎、熱傷、一酸化炭素中毒、騒音、振動、オゾンによる健康障害、腰痛、熱中症があります。

・金属アーク溶接作業とは、どういう原理?
→放電現象を利用します。
溶接棒やワイヤーと、母材の間に電圧を作ると、空気の絶縁がなくなり電流が発生します。
この電流が発生するのと同時に、熱と光が生じ、この熱を利用して溶接を行います。
溶接棒やワイヤーが消費するタイプでそうでないものがあります。

・金属アーク溶接など作業における職場のハザードについて
→紫外線による電気性眼炎、じん肺、感電、熱傷、一酸化炭素中毒、火災、熱中症(マスクや作業服着用による)

・呼吸用保護具の選び方
防護係数が要求防護係数よりも高いものを選択します。
酸素濃度が18%未満であれば給気式、18%以上ではろ過式を選択します。
給気式にはエアラインマスク、ホースマスクといった送気マスク、空気呼吸器、酸素呼吸器といった自給式呼吸器があります。
ろ過式には防毒マスクと使い捨て式、取り換え式、電動ファン付きの防じんマスクがあります。
型式検定に合格した保護具の使用が勧められ、捕集率、対象が固体か液体で選択が変わります。

有機溶剤

・作業場で有機溶剤の匂いを感じる場合の対応は?
→直ちに作業を中止し、換気を行います。
局所排気装置の可動状況や点検記録、排風量のチェックも必要です。
同様の事案が普段発生していないかを調査し、原因物質の特定を急ぎます。
また、使用している防毒マスクのフィットチェック、吸収缶の交換などが必要な場合もあります。
有機ガス用の黒の吸収缶を選択できていたか、破過時間からあらかじめ決めていた交換日を過ぎていなかったかなどの確認も必要です。

・有機溶剤の健康影響を測る方法は?
→生物学的モニタリングで摂取量や吸収量といった暴露量を推定します。

どんな有機溶剤が対象ですか?
→トルエン、スチレン、キシレンなどが挙げられます。

・トルエンの場合はどの生体試料を用い、なんという代謝物を見ますか?
→尿中の馬尿酸を測定します。

・気をつけるべきことは?
→コーヒーや果物などの安息香酸ナトリウム含有物を摂っていると正確な値が得られません。

・他に気をつけるタイミングは?
→休日中に有害物質の代謝物が体外へ排出されるため、週明けに検査すると値が低く出てしまいます。

・作業場でのトルエン測定濃度が許容濃度以上だったがそれは職場の作業環境が悪いということか?
→職場にはトルエン以外にも様々な化学物質があり、それらによってトルエン許容濃度超えている可能性もあります。
生物学的モニタリングで結果がBEIを超えていないか調べる必要はあると思います。

・個人の健康障害予防には管理濃度vs生物学的モニタリングや許容濃度、どちらがよりベター?
→生物学的モニタリングや許容濃度のほうが良いと考えます。
個人のモニタリング結果に基づいた方がより早く異常に気づくことが可能だからです。
しかし、管理濃度、許容濃度は取り扱う物質によってどちらが低いかは異なるので、一次予防の観点から判断するとより低い値が設けられている方を基準にすべきです。

その他有害業務(暑熱、騒音、振動、酸欠、腰痛、VDT、病院)

・鋳物作業場の危険有害性は?
→可燃性ガスへの引火、ベルトコンベアーへの巻き込まれ、グラインダー使用による切創、製品と地面の間に手足を挟むといった挫滅創、換気不良による有機溶剤中毒、鉛中毒、発じんによるじん肺発症、熱傷などが考えられます。

・暑熱環境における熱中症リスクはどういうふうに測る?
→暑さの指標であるWBGT値を測定します。
気温、気流、輻射熱、湿度の4つの要素が組み込まれています。

・WBGTは何の略ですか?
→Wet-Bulb Globe Temperatureです。

・測定方法は?
→JIS規格に合致した、黒球が装着されているWBGT指数計を用います。
直射日光が当たる作業場では湿球:黒球:乾球=7:2:1で計算しますが、日陰では湿球:黒球=7:3で計算します。

・基準値は?
→基準値は14個あります。
安静、低代謝率、中代謝率、高代謝率、極高代謝率の5つの身体作業強度暑熱順化が済んでいるかいないか、気流の有無で基準値が変わるので、この条件に当てはまる基準値を指標として採用します。

・騒音環境に対する作業環境改善策を大きく分けて3つ
→防振、制振といった騒音発生源のメンテナンス、遮音板や防音シートによる遮蔽指向性の改善です。

・騒音の管理区分3であったときに誰にどのような対応を求めるか
→まず、騒音発生源の設備や作業工程、作業方法の点検を事業者を通じて担当者へ依頼します。
改善が難しい場合は環境測定士などの作業環境管理専門家へ意見聴取を行います。(作業環境管理専門家とが、第1種作業環境測定専門家、オキュペイショナルハイジニストなどです。経験年数も要件として挙げられています)
改善可能な場合は、措置の実施後に再度環境測定を行い結果を評価します。
また、イヤーマフ、耳栓などの保護具着用が適切にできているかを自ら巡視し確認したり、保護具着用管理責任者へ聴取したりします。
該当作業に従事していた作業者の特殊健康診断受診を継続し、今回と前回で聴力に差が出ていないか確認する必要もあります。

作業環境管理専門家の要件

・改正された騒音障害防止ガイドラインで知っていることは?
→4つほど挙げられます
① 騒音障害防止対策の管理者選任です。
管理者を選任し、組織的にガイドラインに基づく対策を実施します。
② 聴覚保護具の選定基準が明確化されました。
JIS T8161-1に基づき測定された遮音値を目安とし必要かつ十分な遮音値のものを選定するようになっています。
③ 騒音レベルの新しい測定方法が追加されました
85dB以上の場合は騒音源を遮蔽、低騒音化などの改善措置を図り、測定は6か月ごとに1回行います。また、作業工程が変わればその都度測定を実施し記録を3年保存します。
④ 騒音健康診断の検査項目の見直しです。
定期健康診断(騒音)における4000Hzの聴力検査時音圧が40dB→25および30dBへ変更されました。
雇い入れ時や配置替え時、定期健康診断(騒音)の2次検査で6000Hzの検査が追加されました(もともとは1000Hzと4000Hz)

・騒音性難聴はどんな音でおこるか?
→騒音性難聴は初期には4000Hz付近の聴力が特異的に低下する(C5dip)が見られます。

・騒音障害防止のための対策を教えてください。
→3管理で対策をします。作業環境管理として、防振・制振をして騒音発生源の除去や低減をはかれないかを検討します。遮音板や防音シートで遮蔽するなど騒音の伝播防止対策も検討します。また発生源を音が響く場所から移動させるなど騒音の指向性改善も有効な場合があります。作業環境測定を6か月以内ごとに1回行い、騒音の管理区分に応じて環境調整します。
作業管理として、作業者の作業時間の制限、適切な聴覚保護具の使用、作業手順書の整備・周知などをします。健康管理としては、騒音特殊健診を雇い入れ時や配置換え時、6か月以内ごとに行います。

・騒音のA特性について
→人間が聴覚可能な範囲の周波数に重みづけをしたものです。同じ音圧でも周波数が変われば 感じ方が異なってきます。
人間の耳の感度は1000Hz前後の周波数でもっとも高くなり、一方で周波数の低いところや、1000Hzよりも更に高い周波数では感度が悪くなるという特徴があります。
このような感覚を考慮し、重みづけがされたのがA特性になります。一般的に騒音レベルを計測するときは、このA特性を使用することが多いです。

・コストをかけられない事業所にはどのように騒音対策を促しますか?
→発生源を地に固定するなどの振動対策を行えば騒音も減ります。
(試験官から直接指導を受けた解答ではありますが、個人的にはほかにもっとしっくりくる解答があるような気がしています)

・コンクリート作業を例に出され、騒音障害防止対策を行いたいと言われたらどのようにアドバイスする?
→騒音の3管理は行いますが、移動しながらの作業であれば個人ばく露測定が必要です。

・個人ばく露測定はどう行う?
→作業者に測定装置を装着し、等価騒音レベル(80dB以下は含めない)をもとにC測定、D測定を行います。
A測定、B測定と概念は変わりませんが、C測定では5人以上でサンプリングを行い、CDどちらも15分以上測定します。
A(C)測定平均値、B(D)測定値がどちらも85dB未満であれば第1管理区分、どちらかが90dB以上であれば第3管理区分となります。

・第3管理区分と判断された場合は?
→騒音の3管理を実施します。
すでに実施済みの場合は、適切に実施できているか再度確認し、再度環境測定を行って管理区分が改善されているか評価します。
現状以上の改善余地がなければ、環境測定士などの作業環境管理専門家へ意見聴取します。

・事業者から午前4時間90db、午後4時間は70dbで計80dbだから問題ないですよねと言われたら?
騒音障害防止ガイドラインの「騒音レベルによる許容基準(概要版)8時間を前提としたもの」では、4時間の作業では88dBまでとなっているので午前4時間90dBは改善の必要があります。

・1時間でも90dB超えてたら問題ですか?
→騒音障害防止ガイドラインの「騒音レベルによる許容基準(概要版)8時間を前提としたもの」では、1時間のみの作業であれば94dBまで許容されます。

・コンクリートを切断する際の有害因子は?
→粉じん、有害光線による目の障害、振動、熱傷、腰痛などが挙げられます。
作業場によっては酸欠や熱中症も考えられる状況があると思います。

・振動作業とは
→ジグゾーやサンダー、インパクトレンチ、ショットハンマー、コンクリートブレーカーなどの振動工具を使用する現場で行う作業のことです。
従来は、チェーンソーを使用する林業、削岩機を用いる鉱業で振動作業が多かったのですが、現在では建設業や製造業でよく見られるようになりました。

・振動防止対策
→作業環境管理の面では、振動作業の低減、作業の自動化が挙げられます。
半年に1回の日振動暴露量測定でリスクを評価しておくことも重要です。
作業管理では、作業時間の短縮といった措置、防振手袋の着用、ハンドル以外の部分を持たない、ハンドルを強く握らないといった教育、振動工具管理責任者の選任が有効です。
健康管理としては、振動特殊検診の実施が挙げられます。

・酸欠が起きる場所
→腐泥層に接する井戸、石炭、鉄、原木など酸素を吸収する物質を保管している倉庫、しょうゆ、酒、酵母などの発酵するものを入れていたタンク、ドライアイスを使用している冷蔵室や冷凍室、穀物、飼料を貯蔵した倉庫、海水が滞留していいたピット、し尿、汚水などを分解していたタンクや貯蔵層です。

・酸欠防止対策
→作業管理の面では、作業開始前に硫化水素、酸素濃度の測定を行い、硫化水素は10ppm以下、酸素は18%以上になるよう設定します。
継続的な換気も必要です。
作業管理では、酸欠、硫化水素危険作業主任者の選任、作業方法の決定や指導、緊急時に備えて空気呼吸器、はしご、ロープ、空気呼吸器といった救助用具の準備が重要です。
また、関係者以外は立ち入り禁止にしたり、労働者の出入りをカウントしたりといった対策も有効です。
健康管理では、異常の早期発見や適切な処置のために監視人の配置を行います。

・一酸化炭素中毒が起こるのはどんな場所?
→換気が不十分な場所における火気の使用や、冬場の土木作業におけるコンクリート養生作業、トンネル等におけるガソリンエンジン、発電機の使用などがあります。

・一酸化炭素中毒防止の対策は?
→火気や内燃機関を使用する際の換気を十分に行うこと、地下室やトンネル内等で十分な換気ができない場所ではこれらを使用しないことが重要であり、動力を必要とする場合には事前に綿密な安全対策を立て、関係者間で十分に連絡をとりながら作業を行うことが大切です。

・腰痛の作業環境管理は?
→作業環境内の温度が低くならないよう調整します。
また自由な作業姿勢が取れるよう空間を広く保ちます。
転倒防止のため、足元の照度を確保したり、床を濡らさないようにしたり、滑りにくい加工を施したりするのもよいです。

・介護福祉業でも腰痛を減らす方法は?
→スライディングボードの使用などのノーリフトケアが有効です。

・喫煙対策は、中小企業の社長はわかってくれないけど、どう説得する?
→まず導入できない理由を聴取します。
解決可能な理由であれば解決に乗り出します。
また、受動喫煙により引き起こされる健康被害の内容を伝え、改正健康増進法により受動喫煙防止対策が義務であることも説明します。
第1種施設でも屋外喫煙場所の設置が可能、第2種では屋内に喫煙専用室、加熱式たばこ専用喫煙室、屋外喫煙場所の設置が可能であることを伝え、すべての箇所が禁煙になるわけではないことをご理解いただきます。
また、喫煙室の増改築に関しては、受動喫煙防止対策助成金があることもお伝えします。

・情報機器等の労働衛生管理について
→情報機器作業における労働衛生管理のガイドラインでは、作業環境管理、作業管理、作業環境の維持管理、健康管理、労働衛生教育が挙げられています。
まず作業環境管理ですが、室内の照度や空調、機器の選択や調整、机の高さや広さや椅子の調節しやすさが重要です。
具体的には、明暗の対照が激しくない室内照明や間接照明によるグレア防止、太陽光が差し込む際のブラインド設置、机上の照度を300ルクス以上に保ちつつ、ディスプレイとの明るさに差が出ないよう輝度やコントラストを調節し目を保護する、タブレットやスマートフォンなど作業目的に合った機器の選択やキーボード、ヘッドセットなど外付け機器の利用、高さや向きを調整できる椅子、十分な広さの机等の使用による自由な姿勢変更がきく設備、収納スペースの充実した引き出し設置、動かせるキーボードの使用による肩こり防止などが挙げられます。
次に作業管理ですが、作業時間や作業姿勢、機器の調整について言及されています。
作業は1時間以内で1サイクルとし、15分ほどの休憩をサイクルごとに1~2回、適切な業務量の配分、足裏全体が床に接するよう椅子へ深く腰掛ける、時折立ち上がる、立ち作業へ変更する、ディスプレイは目から40㎝以上の距離で画面上端は目の高さ、画面の角度調節です。
作業環境の維持管理ですが、作業開始前の設備点検、作業場所や情報機器の清掃、事業者による照明、採光、グレア防止、机、いすの調整状況の定期的な確認が挙げられています。
健康管理ですが、健康相談や職場体操が勧められています。
メンタルヘルスや健康上の不安、慢性疲労、ストレスに起因する症状、自己管理の方法を相談する機会を設けたり、体操、ストレッチ、リラクゼーション、軽い運動などを行う時間を確保することが勧められています。
労働衛生教育では、本ガイドラインの内容を講習として受講することを勧めています。
作業者向け教育、管理者向け教育の2つがあります。

・テレワークの健康課題は?
→困難な労働時間の管理、運動不足や筋力の衰え、深部静脈血栓症発症リスク、情報機器使用による視力低下、孤独感や不安感による精神疾患発症、不規則な生活や間食による体重増加、生活習慣病発生リスクなどが挙げられます。

「テレワークにおけるメンタルヘルス対策の手引き」厚労省発行資料

・テレワークの長時間労働対策を挙げて
→時間外のメール送付抑制、システムへのアクセス制限、時間外・休日・深夜労働の原則禁止、長時間労働を行った労働者への注意喚起が挙げられています。
また、業務に従事した時間を日報等において記録し、事業者はその日報をもって当該労働者に係る労働時間の適切な把握に努め、必要に応じて労働時間や業務内容を見直すことが望ましいとも記載されています。

「テレワークにおける適正な労務管理のためのガイドライン」厚労省発行資料

・テレワークのガイドラインにはどんなことが書いてある?
→労務管理上の留意点、テレワークに要する費用負担の取り扱い、情報セキュリティへの対応、各種ハラスメント相談窓口の設置、心身の健康相談体制など安全衛生の確保について記載されています。

・パソコンを使うような時の角度とかは?
→モニターの中心が目線より10~15°下になるのが理想的です。

・テレワークの場合の労働時間の把握はどう行うか?
→労働者自身が業務に従事した時間を日報等において記録し、事業者へ提出することで労働時間を把握することが勧められていますが、システムへのアクセス時間など客観的な記録を用いて裏打ちするのも有効です。

・事業主として自宅の環境にどう関わる?
安全、衛生、経済の3つの視点で関わる必要があります。
まず、安全ですが、テレワーク中は自宅内でのけがは労災の対象となります。
電源コードに引っ掛かり頭部打撲を起こすなどの例です。
業務中に安全に作業ができるよう、作業環境の整理整頓、いすや机、ディスプレイの適正綱位置などについてレクチャーを行います。
衛生の視点ですが、テレワークでは長時間残業が常態化しやすくなるため、時間外のシステムへのアクセス制限やメール送信時間につてルールを策定します。
経済の視点ですが、通信費や電気代など会社が一部補助することが望ましいです。
労働衛生の範疇から外れるかもしれませんが、金銭補助のルール策定は必要と思われます。

・自宅での労働環境を担保する際はどうすればいいか?
→答え方がよく分かりませんでした。他のテレワークに関する設問ですでに回答してしまってるかもしれません。

・病院でのハザードは?
→放射線被ばく、汚染された注射針による針刺し事故、患者からの感染
ベッドや車いす移乗によって発生しうる腰痛、病理検査で使用するホルムアルデヒド。
業務の負荷や夜勤による脳・心臓疾患発症やメンタルヘルスの不調が挙げられます。

・AIやIOTを使った健康管理はどうしますか?
→血圧や脈拍、睡眠や歩数などの情報から健康状態を評価したり生活習慣病のリスクを警告したりすることが可能になります。
また作業中の酸欠や熱中症などをいち早く知らせることもできるようになります。

保護具

・個人用保護具とは
→レーザー用保護メガネ、遮光メガネ、イヤーマフなどの聴覚保護具、給気式マスク、ろ過式マスク、化学防護手袋、切創手袋、防振手袋、耐熱手袋、バイオハザード対策用防護服、耐熱対炎用防護服、溶接等作業用防護服などが挙げられます。

・ろか式マスクについて、それぞれの特徴
→防じんマスクと防毒マスクがあり、防じんマスクは使い捨て式、取り換え式、電動ファン付きに分けられ、基本的に型式検定合格品を使用します。
規格があり、使い捨て式はD、取り換え式はR、対象物質が個体の場合はS、液体の場合はLで、補集効率によって1(80%),2(95%),3(99.9%)に分けられています。
電動ファン付きマスクは、固体Sか液体Lか、補集効率1(95%),2(99%),3(99.97%)で規格を示します。
防毒マスクは、直結式小型、直結式、隔離式があり、使用可能な濃度上限も順に0.1%、1%、2%と定められています。

・呼吸用保護具について注意点は何かある?
→SDSを確認し、物質の特性に作業場の要求防護係数を満たしたマスクを選択します。
髪の毛や髭を挟んでしまわないよう顔にフィットするものを選びます。
フィットテストで要求フィットファクタを満たしているか、シールチェックで密着できているかを確認できます。
ろ過式は、酸素濃度が18%以下の場所や、酸素濃度が分からない場所では使えません。

・呼吸用保護具をつけるのを嫌がる労働者への対応方法は?
→まずは嫌がるか理由をよく聞いてみます、
次に、きちんと装着しない場合の健康被害のことについて丁寧にお話し、着用を継続して頂かないと企業としても安全配慮義務の履行が滞り就業上の措置を取らざるを得なくなることも説明します。
息苦しいという訴えが強い場合は、肺機能の問題などがある場合もあるため、病歴の聴取や健診結果の参照といった個別の対応が必要になります。

・聴覚保護具を選ぶ際の注意点はありますか?
→JIS T8161-1に基づき測定された遮音値を目安とし必要かつ十分な遮音値のものを選定します。
騒音減衰指数(NRR)やシングルナンバーレイティング(SNR)といった数値を参考にします。

・第1種、第2種の耳栓、イヤーマフはどう違う?
→イヤーマフ(EM)は耳全体を覆うタイプの聴覚保護具で、装着による遮音効果の個人差が少ないですが、側圧が強く圧迫感が強いので長時間の使用には向きません。
耳栓は耳道に直接入れるタイプの保護具で、第1種(EP-1)は低温から高音まで遮蔽する耳栓で、第2種(EP-2)は高音を遮音し、会話域程度の低音を比較的通します。

・さっきの聴覚保護具の選択の注意点について遮音性能中心に答えていたけど、音を遮れたらそれでいいですか?
→適切なレベルの遮音に設定します。
会話内容やクレーンなどの機械作動時警報音が聞こえないと事故に発展する可能性があります。
選択の方法ですが、現場で発生する騒音レベルから防音保護具の騒音減衰指数(NRR)を引いた値が80~85dBの間に収まるように選択するのが望ましいです。

女性則

・女性の労働基準規則で気をつけること
→従事が制限されている業務があります。
ボイラーの取り扱い、多量の高温もしくは低熱物体の取り扱い、著しく暑熱もしくは寒冷な場所における業務、異常気圧下における業務への就業が禁止されています。
また、重量物の取り扱いについては、年齢や作業が断続的か継続的かで重量上限が設けられています。

・第3管理区分ではすべての女性が就業禁止なの?
規制対象物質の環境測定結果が第3管理区分に該当すればすべての女性が就業禁止となります。
GHS分類で生殖毒性や生殖細胞変異原性が存在するとされている化学物質や授乳影響ありとされている物質が規制対象物質となります。
この規制対象物質は、特定化学物質障害予防規則、鉛中毒予防規則、有機溶剤中毒予防規則の適応を受けています。

両立支援

・両立支援で大事なことを2つから3つ
→労働者が抱えている疾病や障害の詳細、労働環境の整備、周囲の理解
(私個人の見解です、他によい解答例があればそちらをご優先ください)

・両立支援の登場人物は?
→労働者である本人、主治医、産業保健スタッフ、事業者、職場の同僚や上司、人事労務担当者が挙げられます。
脊損などの重度障害であれば、先ほどのメンバーに加えて、地域の障害者就業・生活支援センターの社会福祉士が派遣される場合もあります。
(私個人の見解です、他によい解答例があればそちらをご優先ください)

・高齢化に伴い転倒の労災が増えているが、年齢や性別での差はあるか?
→あります。まず性別ですが転倒災害全死傷者数の6割が女性です。
50歳を超えたあたりから転倒災害の発生件数が男女ともに上昇し始めますが、女性の方が発生率が高いです。

・転倒防止のハード面対策は?
→床面の段差をなくす、通路に物を置かない、階段に手すりを付ける、床面が水や油で濡れないようにする、濡れた場合の清掃実施などが挙げられます。

・転倒防止のハード面対策以外にソフト面対策は?
→整理・整頓・清掃、時間に余裕をもって行動する、滑りやすい場所では歩幅を小さくする、照度を確保しつまずきやすいものを見つけやすくする、つま先で地面を蹴り、かかとで着地する、通路は走らない、目の高さ以上に荷物を持たないなどのルールを作成し、その意味を定期的に教育するといったものが挙げられます。

5S

・5Sに関して説明
整理、整頓、清掃、清潔、しつけです。
この5S活動を行うと、職場環境が整うだけでなく、無駄もなくなり、結果として、作業の効率化、生産性の向上が実現できます。

・5Sの順で、指導する部分
整理ですが、必要なものと不要なものを分類し、不要なものを処分します。
購入したいものがある場合は、不用意に物が増えないよう用途や保管場所、廃棄方法をあらかじめ決めます。
整頓では、必要なものをあらかじめ決めておいた場所に配置することです。
利用頻度や業務の流れを考慮し、置き場所を決めます。
探さなくても見つけやすいよう、名称の表示をしたり、取り出さなくても参照できるようにファイリングしたりと保管方法を工夫します。
清掃は、掃除をして職場内にゴミや汚れがない状態にすることを指しますが、どの状態が「きれいな状態」なのかをあらかじめ認識を共有しておく必要があります。
確実に清掃を行うためにいつ、だれが、どこで、どのように行うのか、当番を決めたり、チェックリストを作ったりして習慣化します。
清潔は、汚れのない状態を保つことです。
整理・整頓・清掃のルールを明確化し、誰が行っても同じレベルを保てるように基準を策定することが重要です。
しつけは、従業員が常にきれいに職場を使うように習慣付けるための指導や教育のことです。整理・整頓・清掃・清潔の確実にな実施のために、しつけの段階で実行のためのルール策定を行う必要があります。
決められたルールを守り、職場の環境改善を行うことは、従業員のモラルの向上や事故防止につながります。

4K

・安全衛生の4Kに関して説明
→安全衛生の4Kとは、決意表明、高所対策、管理活性化、教育強化のことです。
R4年11月~R5年1月を推進強調期間として、建設業における墜落災害などの死亡災害対策を目的に東京労働局より啓発されました。

・4Kに関して事業所でどのような取り組みが求められているか?
→年末・年始の繁忙期をとらえた計画的かつ安全衛生に配慮した事業の運営
事業場内に「Safe Work」のロゴマークを掲示することなどによる労働災害防止の機運の醸成
各関係団体幹部、各事業場の経営トップによるパトロールの実施
感染症防止に配慮した安全衛生大会等の開催
安全衛生管理活動の的確な実施及び活性化に向けた取組
墜落・転落災害、行動災害予防を始めとする安全衛生意識の向上等を目指した安全衛生教育の徹底(災害事例の共有や体験型安全衛生教育の実施等)
各業種、各事業場における過去発生した災害を踏まえた労働災害防止対策の徹底
化学物質のリスクアセスメントの実施を含めた化学物質管理の徹底
積雪・凍結等、冬期における転倒防止、交通労働災害防止対策の徹底
大掃除や棚卸し等の作業における脚立・はしごからの墜落、転落防止対策の徹底
その他、本強調期間にふさわしい創意工夫を凝らした取組

・産業医を担当している企業の安全衛生委員会で4Kに関して話されてることはあるか
(解答例)
→はい、11月の委員会でパトロール強化に関する話題が上がっておりました。
今年の年末は、昨年のような4Kの推進強調期間ではありませんでしたが、正月休みに向けて浮足立つ時期でもあるので、部署の垣根を越えて互いの現場をパトロールし、12月の委員会で互いの職場への指摘事項を伝達し合いました。
印象に残った指摘は、弊社採用フルハーネスの耐荷重が130㎏なのですが、その値を超えている作業者様がおられることが発覚し、緊急で高所作業不可の就業制限を行いました。
今月産業医面談を行い減量指導を行ったので、毎月面談し進捗を確認していく予定です。

設問と解答のまとめは以上になります。
受験予定の皆様のお力になれると幸いです。
過去問3年分はしっかり答えられるようになると良いと思います。
ぜひ一緒に産業保健やりましょう、応援しております!